信州大学で研修制度について話す

2月12日信州大学で学生向けの「医学医療を学ぶ連続講座」で
「卒後臨床研修制度〜医師不足と医師養成について〜」というお話をしました。
非常に唐突に卒後臨床研修制度の見直しが叫ばれ、1年に短縮せよという意見も出されています。
現在の臨床研修制度は以前に比べ改善した点がいくつもあります。
もちろん不十分な点も多々あるのですが、
研修のあり方の検討からの議論ではなく、
単純に「医師不足に対して即効性のある対策を」という発想からの提案は、あまりに安直と言わざるを得ません。

今回のお話をするにあたって「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」の文書なども読んでみたのですが、
この検討会の中でもいろんな意見があって、とても今の段階で見直しを急ぐ段階ではないと思われます。
そんなことを中心に、日本の医師数の絶対的な不足、プライマリケアの考え方、初期研修はどんな場で行うべきかといった内容で1時間ほど話しました。
ところで質疑応答の中で「OSCEが通ればコミュニケーションはOKなのだろうか」という発言をした学生さんがいました。
鋭いですねえ。ぼくが最近考えているのも同じようなテーマです。
コミュニケーション能力は「これでOK」というものはなく「これでいいのか?」と問い直す過程こそが大事だと思うのです。
この学生さんがそういう疑問を持ったということは、
自分のコミュニケーション能力を豊かにしていくことができる人だなと思いました。
こういうテーマに関心のある方には杉本なおみ「医療コミュニケーションハンドブック」(中央法規)がおすすめです。

健和会病院小児科和田浩