保育園でコンサート

先日、ぼくが園医をやっている飯田市のみつば保育園でコンサートをやった。今回で3回目。
ぼくと病院職員(もともとは調理師)の古川じんのふたりでやっている「和田バンド」のコンサートだ。

「2人でもバンドっていうの?」という突っ込みがありそうだ。
実はこれでも20年前ころにはドラムス・ベース・キーボードなども加わった一応バンドらしいバンドで、県外でもコンサートをやったりしたのだが、どんどんメンバーが抜けて今は(というか最近18-9年は)2人だけで細々とやっているのである。


9:30ころ保育園着。年長さんの部屋にござを敷き、暗幕をひくといい雰囲気のコンサート会場に。セッティングをした後、職員室でコーヒーをいただく。ちょうど前の園長のO先生が別の用事で来ていて「あら、久しぶり」と話が盛り上がる。O先生はぼくの3人の子どもがこの保育園に通っていた時からずっと園長だったのでお世話になりっぱなし。一人ひとりのことを実によく覚えていて、保育士さんてすごいなあと思う。


コンサートは10時から。今回のプログラムは…

1、世界中の子どもたちが
2、キャベツはキャ!
3、絵本「うんちしたのはだれよ!」
4、手遊び
5、ふうせん
6、にじ
7、みんなともだち

「キャベツはキャ!」は「キャベツはキャ!キャ!キャ!」「トマトはトン!トン!トン!」と一緒に歌うのだが、こどもたちが思いっきり大きな声で歌うのでものすごい盛り上がり。パワーに圧倒される。あんまり盛り上がると引きずってしまって次に行けなかったりするのだが、絵本の読み聞かせのときにはしっかり集中してくれた。こんなふうにサッと切り替えられるのはすごいなあ。

感動したのは「にじ」。これは「子どもたちが好きでよくうたっている歌です」といって渡された中に入っていた曲で、どこかで聞いたことがあるなあと思ったら「トラや帽子店」の曲だったのだ。「トラや帽子店」は1987年から1998年まで活動した、子どもの歌を歌う伝説のスーパーグループで、彼らの歌の多くが保育園での定番となっている。実はこの日の曲はすべて彼らの曲だ。和田バンドはふだんのコンサートでは(あ、「ふだん」って言っても、何かの企画の中で歌うことが1年に2-3回という程度だけど)半分くらいはオリジナルをやるのだが、保育園でのコンサートになるとほとんどは彼らの曲になる。ぼくは彼らとは以前から付き合いがあって、結成直後の「トラや」を自分のコンサートのゲストに呼んだのが今でも自慢なのだ。保育関係の集まりでそう言うと「え!和田先生ってそんなすごい人たちと友達なんですか!」とぼくを見る目がガラッと変わるが、医療関係ではほとんどリアクションがない。

それはさておき。

ぼくらが歌いだすと子どもたちも一緒に歌いだした。静かな曲なのだけれどみんなの声が部屋の中に響いてとてもいい感じ。中には自分で考えたらしい振り付けをつけている子もいる。ひとりひとりが自由に歌を楽しんでいる。古川じんは「泣きそうになった」と言っていた。本当に感動的だった。


ぼくらの歌の後、子どもたちが歌を歌ってくれて、子どもたちの作った首飾りなどのプレゼントももらい、「また来てねー」と言われながら、とても幸せな気持ちで帰ってきた。


子どもってすごいなあ、子どもは「子どもである」というただそれだけのことで、大人に勇気やパワーをくれるんだよなあ。そんなことを思ったりした。


(健和会病院小児科 和田浩)