ウインターセミナーに参加して

1月9日〜10日、松本で行われたウインターセミナーに参加して参りました。

今回のお目当ては何と言っても、大船中央病院の須藤先生の講演&ミニカンファレンス。
総合臨床を勉強しているとよくお目にかかる名前ではありますが、
実際にライブで講義を聞いてみるとどういう感じなのだろうかと大変興味がありました。


まずは指先から診察をしていき20の疾患が分かるという話からスタートしましたが、2時間近く話を聞いていて凄く引き込まれるお話を聞けました。
鉄欠乏性貧血では異食症なんてものが症状として書かれてあるけれど、実際には粘土を食べるなんて極端な人はそういなくて、例えば氷をやたらよく食べる事で鉄欠乏性貧血と分かったお話などは、まさに勉強になりました。
スプーンネイルはよく使う指にしか起こらない、だから親指・人差し指に圧倒的に多いけれど、5本指全てにスプーンネイルが出ていた女性は、実は話を聞くと片手でジョッキを5つ持つ飲み屋で働く人であったとか、職業まで推察できてくるのかと目から鱗でした。

他にも、羽ばたき振戦は肝不全で起こる事は有名だけれども、高CO2血症でも起こるのだとか、知らないと分からない知識も教えてもらえました。
どこかにぶつけたわけでもないのにある日、突然ズキッとして、その後指に青あざができた中年女性が、実は経過観察でOKだったAchenbach症候群であった事が判明したとか、そんな疾患初めて知ったぞというお話も聞けました。
講義中に先生が何度もおっしゃられておられましたが、「知らないと疑う事もできない。見た事がないのではなく、そういう目で患者を見ようとしてこなかったから見えないだけ。」という言葉が大変印象的でした。
ミニカンファレンスでは、実際の症例を先生と一緒に考えていくという設定でしたが、先生がどの情報を手に入れた時に、何の疾患を考え、その次の一手をどうするのか決めていく過程は感動モノでした。これほど豊富な知識を持つ先生でも、最初から疾患が見えているわけではなく、いくつも候補がある中からこれはありそう、これはなさそうというSpPIN、SnOUTを徐々に徐々に展開していく姿を見て、なるほど、現場ではこうやって頭を動かしているのかとこれからの自分が真似していくべき姿が見えた気がしました。

今回はビッグネームの先生が来られていたからというのもあったのでしょうが、
研修医の先生達を始めとして、色々な病院の先生方が来られていたのが驚きでした。
研修医の先生達が質問を受け、答えては話を進めていくというスタイルであったので、受動的になる事なく、自分の考えを述べてそれに対する評価をしてもらえたので余計に楽しかったのだと思います。
このような企画が今後も続き、より多くの先生方と交流するチャンスが広がればいいなと思った、充実したセミナーでした。


河合俊輔