胃ろうについて


朝日新聞(1月7日、19日付)に、元自治医大消化器外科教授の笠原先生と脳神経外科専門医の林先生によるそれぞれの「胃ろうのあり方について」記載されていました。

30年ほど前に「胃ろう」という術式が開発され、リスクが少なく手軽にできる為国内に普及し、約40万人の患者が生命を維持しているそうです。

笠原先生は

「胃ろう患者1人あたり年間400万円の公費、100万円の自己負担が必要となる。「食べれなくなったら胃ろう」という短絡的な思考が増え「誰の為の終末期医療なのか」視点が欠けている、医師の8割、市民の7割が「植物状態に陥ったら胃ろうで生かされるのは拒否したい」と答えている。病院の都合、家族の思惑に左右されず、人間らしく安らかに自然な死を迎える権利を保障されなければならない、終末期医療における胃ろうのあり方について考え直すべき時、
2011.1.7朝日新聞「安易な「胃ろう」やめては」

と述べていました。

一方,林先生は

脳卒中の急性期治療では、栄養を外から補充することには選択の余地はない場合が多い。十分に栄養を補給しつつ治療を行なえば患者が感謝するほど回復するのもまれでない。家族はできる限りの治療をしてほしいと希望する。問題は、「いつ、誰が、栄養補充を次第に減らしたり中止したりすることを決めるのか?」高度医療技術を駆使した延命治療の中止より不自然、論理的に解決するべきハードルも高い、
2011.1.19朝日新聞「栄養やめる条件の議論を」

と述べていました。

現在、医療現場は高度な医療技術が進んで様々な医療器具が昔と比べて発展してきました。便利な世の中になればなるほど問題はでてくるのではないでしょうか?胃ろうという技術では患者が長く生命を維持できるようになり家族は安心するでしょう。しかしその一方では、金銭による負担、治療しても意識障害は回復しない場合などの不安要素もでてくるのではないかと思う。
患者の意思、家族の意思には無数の選択があり悩まされる状況です。高度医療が進むと同時に患者の選択肢も増え続け悩ませる状態が続くのではないでしょうか・・・。
(ふせや)