強力な助っ人登場


指導医のK島先生は自身の専門研修(外部での専門研修:国立がんセンター、仙台がんセンター)以降、様々な学会で発表を精力的に行い、2004年と2006年にはそれぞれプラハとベルリンで開催されたUEGW(United European Gastroenterology Week:欧州消化器病週間)で、ポスター発表を行っていました。
若いうちから海外の国際学会の雰囲気や最先端の研究に触れることの大切さを良くご存知で、「太島先生も、今年のUEGWに参加してきたらいいよ。」と言われたのが事の始まりです。
UEGW(欧州消化器病週間)とは消化器分野の国際学会で、毎年75を超える国から9000人余りの参加者が集まって開催されています。

当院では、国内の学会の場合は年3回まで病院が費用負担してくれて参加できることになっていて(発表演者の場合と、地方会は何回でも可)、海外の場合は一定額の補助が出る決まりになっています。
K島先生から、「せっかくパリで行われるのだから、観光もかねて行ってみたら?」と、最初は軽いノリで声を掛けられたのですが、「自分で演題発表する場合は病院が全額補助してくれるから、せっかく行くのなら、やっぱり何か演題をエントリーしてみたらどうかな?」と、さりげなく発表も勧められたのでした。

うーん、そうか・・・。
じゃ、ためしに以前、消化器内視鏡学会の総会に出した発表を参考にしてabstractを出してみるか?、
と思い、まずは日本語でabstractを作成。K島先生に添削してもらい、その後英語版の作成へ。と、・・・これがまた非常に大変!なのですが、実は、ここで強力な助っ人が登場するのです。
実は、当院では毎週1回、若手医局員有志で英会話教室を開催しているのです(主宰はK島先生)。
長野で暮らしているnative speakerと独自で契約をして、病院の医局まで出前講座に来てもらうという形で、院内サークルとして活動をしているのです。
この医局英会話教室の米国人講師先生(医者ではありません)に添削をお願いすることができたおかげで、それほど大きな苦労をすることなく、abstractを完成させることができました。
最終的には自分が作ったabstractとは思えないほど、添削されましたが・・・。

もともと演題が採用されなくても学会へは参加する予定にしていたので、まずは、早期割引利用で参加費を4月中に振り込み、演題の締め切りが5月であったため、学会のWebsite経由でabstractを送り、7月中旬まで結果待ちとなりました。


ドキドキしながら首を長くして待っていると、7月5日にUEGW事務局から英文メールが。

『Your abstract No 605 “INVESTIGATION OF GASTRIC CANCER MISSED AT ENDOSCOPY” has been accepted・・・』

おおおっー、acceptされたぞ!やった!と小躍りしたその後、続きを良く読むと、


『・・・for ORAL presentation and publication.』。





ん・・・、ORAL??






O・R・A・L・・・、口演?



マジですか?



英語で?




ポスター貼り逃げではなく、壇上に上ってしゃべれと?







何度読み返してみても、『ORAL presentation』でした。

恥ずかしながら、英語力には自信の無い自分としては、ポスター発表に通ればいいな〜、とたかをくくっていたところに、まったく想定外の口演発表。それから10月までは、日夜、日常診療の合間を縫って、まさに英語との格闘でした。

英語でPowerPointを作成し、発表原稿も英語で書く・・・。推敲を積み重ね、英会話の講師先生にまたも添削をお願いし、なんとか形になったのが9月末。

その後は、質疑応答用の想定問答集を自分で四苦八苦して作成。10月上旬に医局の予演会を実施し、いろいろ突っ込まれ、問答集も修正し、これでなんといけそうだ、と思ったのが、10月中旬。



10月29日の本番はもう目前!